視力検査だけではわからない「アイフレイル」
2023.10.01
10月10日は「目の愛護デー」です。なぜ10月10日なのかといえば、「10」を横に倒すと眉と目に見えるから。
さて、みなさんは眼科検診を受けたことがありますか?
健康診断やコンタクトレンズを処方してもらうときに、視力検査は定期的に受けているかもしれません。でも、目の機能を測るには、視力検査だけでは不十分なのです。
気づかないうちに目の機能が衰える「アイフレイル」が始まっているかもしれません。
視力検査では緑内障は見つからない
大人になってから失明する原因で、最も多いのが「緑内障」です。
緑内障とは、目の奥にある視神経が障害を受けることで、視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりする病気です。「視野が狭くなればすぐに気づくだろう」と思うかもしれませんが、ふだんは両目で見ることで、片方の視野を補ってしまうため、初期に症状を自覚できることはあまりありません。
さらに、緑内障で視野が欠けはじめていても、中心部の視野は残っていると、見ようとするものは見えるので、視力検査では視力が出てしまいます。そのため、視力検査だけでは緑内障には気づけないのです。
40歳以上の20人に1人が緑内障
視野が欠ける、失明する――。そう聞くと、もしかしたら、まれな病気のように感じる人もいるかもしれません。でも、日本人の場合、40歳以上の5%程度、60歳以上では10%程度の人が緑内障になると言われています。40歳を超えると20人に1人が緑内障になると考えると、かなり身近な病気ですよね。
なおかつ、ダメージを受けた視神経を回復する方法はまだ確立されていないので、緑内障は早期に発見して、進行を抑えることが大切です。
アイフレイル、始まっていませんか?
目の機能を衰えさせるのは、緑内障だけではありません。
加齢の伴う変化に加え、さまざまなストレスが加わることで目の機能が低下した状態のことを「アイフレイル」と呼びます。
フレイルとは、加齢に伴って身体のさまざまな機能が低下することで、健康障害に陥りやすい状態のこと。介護が必要になる手前の段階です。
アイフレイルは、「目のフレイル」です。下記のチェックリストのうち、当てはまるものはありませんか?
<アイフレイルチェックリスト>
□ 目が疲れやすくなった
□ 夕方になると見えにくくなることがある
□ 新聞や本を長時間見ることが少なくなった
□ 食事のときにテーブルを汚すことがある
□ 眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった
□ まぶしく感じやすい
□ まばたきしないとはっきり見えないことがある
□ まっすぐの線が波打って見えることがある
□ 段差や階段が危ないと感じたことがある
□ 信号や道路標識を見落としたことがある
日本眼科啓発会議 アイフレイル啓発公式サイトより
40歳になったら眼科検診を
上記のチェック項目のうち2項目以上当てはまる場合は、アイフレイルが疑われます。なるべく早めに眼科で検査を受けましょう。
また、日本眼科啓発会議のアイフレイル啓発公式サイトには、アイフレイルのセルフチェックツール(https://www.eye-frail.jp/checklist/tenken/)も紹介されています。視野の欠けや見え方の質、ドライアイなどをセルフチェックできるツールです。こちらもぜひご活用ください。
チェックリストやセルフチェックでは特に問題のなかった方も、40歳を超えたら一度は眼科検診を受けましょう。眼科の検査は、ほとんど痛みや苦痛なく受けられます。自覚症状のないうちに病気を見つけ、早めに治療を始めれば、失明などの悪化を防ぎ、生活を守ることができます。
参照
日本眼科啓発会議 アイフレイル啓発公式サイト
https://www.eye-frail.jp/