糖質カット炊飯器は本当に糖質オフになる?

2023.04.01

ご飯やパン、甘いものといった「糖質」を控える「糖質制限ダイエット」や「低糖質ダイエット」は、一時のブームというよりも、すっかり定着した感があります。そんななか、糖質をカットできる炊飯器がいくつかのメーカーから市販されているのをご存じですか?
「ふつうにご飯が食べられて糖質もカットできるなんてすごい!」と思いきや、実際はそんな魔法のような話ではないようで、国民生活センターが警鐘を鳴らしています。

国民生活センターが糖質カット炊飯器の炊飯試験を

国民生活センターが「糖質を低減できるとうたった電気炊飯器の実際」と題した報告書を公表したのが、2023年3月15日のこと。
 それによると、2017年度以降の約6年間で、いわゆる“糖質カット炊飯器”について250件の相談が寄せられたそうです。なかには「糖質カット炊飯器を使用しているが血糖値に変化がない(=改善しない)」「表示通りにカットされるのかが疑わしい。糖尿病なので心配」といった切実な相談内容もありました。
そこで、複数の糖質カット炊飯器について実際に炊飯してみて、広告等でうたわれている糖質の低減の程度と比べた結果を公表したのが、今回の報告書です。

100g当たりの糖質量は少ない、でも総量は変わらない

 今回対象となったのは、6種類の糖質カット炊飯器です。それぞれの炊飯器で「通常炊飯」と「糖質カット炊飯」を行ったところ、すべての銘柄で、糖質カット炊飯のほうが柔らかく感じられ、100g当たりに含まれる水分量は1~2割多かったそうです。

 また、すべての銘柄で、通常炊飯より糖質カット炊飯のごはんのほうが、100g当たりの糖質割合は約1~3割低くなっていましたが、糖質の低減率が広告等でうたわれていた5銘柄中4銘柄では、その低減率を満たしていませんでした。ちなみに、今回対象となったもので唯一満たしていたのは、アイリスオーヤマさんの「IH ジャー炊飯器 5.5 合」です。

 さらに、同じ量のお米から炊飯したごはんでは、通常炊飯よりも糖質カット炊飯のごはんのほうが約1~3割、重量が重かったものの、含まれる糖質の総量に大きな差はみられませんでした。

結局は“食べるごはんの量”が大事

 今回の結果からわかるのは、「糖質カット炊飯」モードで炊くと、水分が増える分、100g当たりの糖質量は少なくなるものの、含まれる糖質の総量はあまり変わらないということです。
 つまり、“食べるごはんの量”にはやっぱり気をつけなければいけないということですね。

 糖質カット炊飯器の購入を考える方は、血糖値が気になっていたり、ダイエットを考えていたりする方が多いと思います。血糖コントロールにしてもダイエットにしても、糖質との上手な付き合い方が欠かせません。糖質カットモードで炊いたごはんも、たくさん食べれば糖質量は増えます。
 水分量を増えてかさ増しになる分、満足感が増すなら、糖質カット炊飯を利用するのも一つの賢い選択です。一方で、やわらかいごはんが好みではない人、やわらかくてあまり噛まずに食べてしまうような場合は、ふつうのご飯をよく噛んで適量食べるほうが良いかもしれません。

参考
独立行政法人国民生活センター「糖質を低減できるとうたった電気炊飯器の実際」
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20230315_1.pdf

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