夜間頻尿、改善するには?
2022.05.01
夜中にトイレに行きたくなって目覚める、夜間のトイレで眠りが浅くなる、寝不足になって翌日に差し支える――。
こうした症状を「夜間頻尿」と言います。
夜間頻尿は命にかかわるのか、どうしたら夜間頻尿を改善できるのか、サプリメントなどは効くのか――。日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会編集の『夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]』をもとにご紹介します。
夜間頻尿のある人は、生命予後が悪い?
睡眠中に2回あるいは3回以上の夜間頻尿があると、転倒や骨折のリスクが高くなり、死亡率も増加することが報告されています。
その一方で、排尿の時刻や尿量を記録する「排尿日誌」に基づいて夜間頻尿と死亡率の関係を調査した報告では、2回以上の夜間頻尿があっても死亡率とは関係しない、とも報告されています。
夜間頻尿がある場合、水分を制限したほうがよい?
水分のとり方は、悩む方が多いと思います。
ガイドラインでは、「飲水指導は、夜間頻尿患者に対する行動療法の一環として夜間頻尿の改善に有効な指導であり推奨される」とされています。つまり、水分のとり方はやっぱり大切ということです。
では、どのぐらいが適切な水分量なのかというと、「体重の約2%」が目安とされています。
たとえば、体重50キロの人であれば「50(キロ)×0.02=1(リットル)」です。
体重70キロの人は、「70(キロ)×0.02=1.4(リットル)」になります。
また、利尿作用のあるアルコール、カフェイン(コーヒーやお茶など)のとり方も注意が必要です。やはり飲みすぎないようにしましょう。
塩分は制限したほうがいいの?
「夜間頻尿と塩分って関係あるの?」と思うかもしれませんが、関係あるのです。
塩分の多い食事を摂ると、いつも以上に水分を摂りたくなりますよね。それが頻尿につながるということが一つ。また、塩分の多い食事が自律神経のバランスの乱れにつながり、夜間頻尿につながりやすいとも言われています。
ガイドラインでは、「塩分摂取を減少させることによって夜間排尿回数、夜間尿量や夜間多尿指数を減少させうることが示されて」いると書かれています。つまり、減塩が、夜間頻尿の改善につながる可能性があるということです。
夜間頻尿に対するサプリメントや漢方薬は?
「夜間頻尿の悩みに」などと銘打ったサプリメントや漢方薬、健康食品は多数あります。
それらの有用性を報告した論文も出ていますが、「複数の大規模RCT(※ランダム化比較試験)で裏付けられたものはなく、十分なエビデンスがあるとはいえない」というのが現状のようです。
受診の目安は
夜間頻尿の原因には、①多尿・夜間多尿(尿量が多いこと)、②膀胱容量の減少(尿をためる膀胱の容量が少なくなること)、③睡眠障害――の大きく3つがあります。
さらに、それぞれの背景には、内科の病気や服用している薬の影響、泌尿器科関連の病気などが隠れていることもあります。それらの原因によって治療法は異なるので、まずは原因を見極めることが大切です。
夜間に排尿のために1回以上起きなければいけないことを「夜間頻尿」と言いますが、もしも1回起きても、その後はぐっすり眠れて特に支障はないのなら、そんなに心配することはないでしょう。
一晩に2回以上トイレで目が覚める、一度目が覚めたらなかなか眠れない、眠りが浅くなって疲れが取れない――といったときには、一度、「泌尿器科」を受診することをおすすめします。
東京メトロ日比谷線・小伝馬町駅から徒歩2分の医療モール「メディカルプライム日本橋小伝馬町」の6階に、泌尿器科のたかだウロクリニックがオープンしました。夜間頻尿でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
◎参考
日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会編集『夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]』
http://japanese-continence-society.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20200527162817-C7663AC8D3BD1607BA2885D44531DBB7EA5250FAB0C5105F9E54CE0B1BC9BB49.pdf