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日本人6万人超で検証、「座っている時間が長いと死亡リスク増」

2021.10.01

リモートワークや外出自粛で、家にいる時間、とくに家の中で“座っている時間”が増えていませんか?
最近、座りすぎの弊害が何かと指摘されています。
座っている時間が長いほど肥満や糖尿病、がん、脳血管疾患、認知症などを発症しやすくなり、死亡リスクが上がる。そうした研究結果が報告され、テレビや雑誌、書籍などのメディアでも紹介されてきました。
ただ、日本人を対象とした研究結果はこれまで少なかったのですが、このほど、6万人を超える日本人を対象とした研究結果が報告されました。
その結果、やっぱり座っている時間の長さと死亡リスクは関係していたそうです。

座っている時間と死亡リスクの関係

この研究は、京都府立医科大学大学院医学研究科 地域保健医療疫学の小山晃英講師らの研究グループが発表したもの。
64,456人(男性29,022人、女性35,434人)の日本人の健康状態や生活習慣をアンケートなどで平均7.7年間追跡調査したデータを用いて、「日中の座っている時間の長さ」と「全死亡(すべての死因)」の関係について、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)の有無にわけて調べました。

その結果、明らかになったのが、次の3つです。

①日中の座っている時間が長いほど、死亡リスクが高まる
②高血圧、脂質異常症、糖尿病をもっている数が増えるほど死亡リスクが高くなるが、それらの有無にかかわらず、日中の座っている時間が長くなるほど死亡リスクは高くなる
③余暇の身体活動量を増やしても、日中の座っている時間の長さと死亡リスクの関連を抑えることはできない

座り時間が2時間増えると、死亡リスク15%増

この研究では、日中の座っている時間を「5時間未満」「5時間から7時間未満」「7時間から9時間未満」「9時間以上」――という4つのグループにわけて解析を行っています。
その結果、日中の座っている時間が2時間増えるごとに、死亡リスクは15%増加したそうです。
また、生活習慣病のいずれか、もしくは複数かかえていると、日中の座っている時間が2時間増えるごとに増加する死亡リスクはさらに上がり、脂質異常症のある人は18%、高血圧の人は20%、糖尿病の人は27%増加していました。さらに、脂質異常症、高血圧、糖尿病の3つとも持っている人は、日中の座っている時間が2時間増えるごとに、42%も死亡リスクが増加したそうです。

週末の運動で帳消しにはならない

平日の昼間はデスクワークで座っている時間が長いけれど、仕事終わりにジムに行くこともあるし、週末はスポーツをしている――。
そんな方も多いかもしれません。
この研究では、「身体活動量が増えると座っている時間が長いことによる死亡リスクを下げることはできるのか」も検討しています。結果はというと、残念ながら、身体活動を増やしても死亡リスクの減少効果はわずかでした。
つまり、たとえ週末にジムに行ったりスポーツをしたりしても、座っている時間が長い限りはその弊害は残ったままということです。

コロナ禍で在宅勤務が増え、通勤がなくなった方も多いと思います。
家で仕事をしていると、必要なものは座ったまま手の届く範囲にあり、ほぼほぼ座ったままで生活ができてしまう方もいらっしゃるでしょう。30分に1回など、定期的に立ち上がる習慣をつくることが大切です。
「ポモドーロ・テクニック」といって、25分間集中して仕事を行い、5分間休憩することを繰り返す時間管理術があります。これは、集中力の維持と生産性の向上を目的としたもの。この方法を活用して、5分の休憩タイムの間に体を動かすことをルーチンとしてはいかがでしょうか。

◎参考
京都府立大学、日本多施設共同コホート研究事務局「座っている時間が長いほど死亡リスクが増加する」
https://www.kpu-m.ac.jp/doc/news/2021/files/27489.pdf

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