最新のがん5年生存率、10年生存率は
2020.12.01
国立がん研究センターは、11月19日、全国がんセンター協議会(全がん協)に加盟する施設で診断・治療を受けたがん患者さんの5年生存率、10年生存率を集計し、公表しました。
日本人の死因の第1位ががんで、男性の3人に1人、女性の4人に1人ががんで亡くなっていますが、その一方で、がんの患者さんの治療成績は年々良くなっています。
今、がんの治療成績はどのようになっているのか、お伝えします。
10年生存率も5年生存率も良くなっている
2004年から2007年にがんと診断された約9万4,000人の10年生存率は58.3%で、前回調査(2003年から2006年に診断された人)の57.2%に比べて、1.1ポイント改善していました。
5年生存率は、2010年から2012年に診断された約14万8,000人のデータを集計したもので、68.6%でした。前回調査(2009年から2011年に診断された人)では68.4%でしたので、こちらも0.2ポイント改善していました。
乳がん、大腸がん……部位別の10年生存率は
10年生存率を部位別に見ると、男性で罹患数(新たに診断される人の数)が最も多い「前立腺がん」は98.8%、女性で罹患数が最も多い「乳がん」は86.8%(女性の場合)と、いずれも8割を超えています。
男女を合わせた罹患数が最も多い「大腸がん」は68.7%、次いで多い「胃がん」は66.8%でした。
そのほか、主ながんの10年生存率は次のとおりです。
子宮体がん 81.6%
子宮頸がん 68.7%
咽頭がん 63.3%
卵巣がん 48.2%
肺がん 32.4%
肝がん 16.1%
膵臓がん 6.2%
5年生存率を10年前と比べると
がんの場合、治癒の目安とされるのが5年生存率です。
「2001年から2003年」のデータと最新の「2010年から2012年」のデータを比べると、大腸がんの5年生存率は73.4%から76.5%に、胃がんは70.4%から74.9%に、肺がんは40.6%から46.5%に、女性の乳がんは90.0%から93.6%に、いずれも改善しています。
厳しいと言われる膵臓がんも、2001年から2003年のデータでは6.8%だった5年生存率が、2010年から2012年のデータでは11.1%に改善していました。
最新のデータも8~10年前にがんと診断された患者さんたちのものなので、今、がんと診断された人の5年生存率、10年生存率はさらに向上していると考えられます。
国がエビデンスを認める5つのがん検診
こうした改善傾向は、全がん協がデータの集計をはじめた1990年代後半から続いています。その背景には治療法の進歩もありますが、がん検診などによる早期発見も要因のひとつと考えられています。
現在、科学的な根拠に基づいて国が推奨しているがん検診は、次の5つです。
・胃がん検診:50歳以上、2年に1回
・子宮頸がん検診:20歳以上、2年に1回
・肺がん検診:40歳以上、年1回
・乳がん検診:40歳以上、2年に1回
・大腸がん検診:40歳以上、年1回
今年はとくに新型コロナの影響で検診の受診を控えている方も多いかもしれませんが、やはりがんは早期に発見するほど生存率が高いことは確かです。
がん検診を受けていない方は、どうぞ必要な検診を受けましょう。