感染症はどうやってうつる? 感染経路の種類

2020.10.01

だんだん涼しくなってきましたね。本格的に冬を迎えるにあたって注目されているのが、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行です。「ツインデミック」とも呼ばれています。
国は、同時流行(ツインデミック)の可能性を見越して、かかりつけ医などの身近な診療所で検査を受けられるよう、新型コロナの検査キットや感染防止用のマスクなどを医療機関に配布し、備えを進めるようですが、一方で、感染症に対しては私たち一人ひとりの予防対策も大切です。
ところで、感染症には、いくつかの感染経路があります。つまり、感染症の種類によって、「どうやってうつるか」が変わるということ。
感染症を予防するには、その感染症が「どうやってうつるのか=感染経路」を知ることが欠かせません。主な感染経路を知り、賢くツインデミックを乗り越えましょう。

4つの主な感染経路

感染症の感染経路には主に、①空気感染、②飛沫感染、③接触感染、④経口感染——の4つがあります。

①「空気感染」とは?
感染している人の口から飛び出した飛沫に含まれている病原体が感染性を保ったまま空気の流れに乗って拡散し、他の人がそれを吸い込むことで感染すること。
空気感染する病原体として知られているのが、結核菌や麻しんウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルスなどです。

②「飛沫感染」とは?
咳やくしゃみ、会話によって飛び散ったしぶき(飛沫)に含まれる病原体を、近くにいる人が吸い込むことで感染すること。飛沫は、水分を含み重いため、届く範囲は1~2メートル程度と言われています。
飛沫感染する病原体として知られているのが、インフルエンザウイルスや風しんウイルス、アデノウイルス(風邪症候群)などです。

③「接触感染」とは?
感染している人の皮膚や粘膜に触れたり、病原体がついたドアノブや手すりなどの物に触れたりした手で、自分の鼻や口を触れることで感染すること。
接触感染する病原体として知られているのが、ノロウイルスやインフルエンザ、水痘・帯状疱疹ウイルス、黄色ブドウ球菌などです。

④「経口感染」とは?
病原体に汚染された水や食べ物を口にすることで感染すること。
経口感染する病原体として知られているのが、ノロウイルスやO157(腸管出血性大腸菌)、サルモネラ菌などです。

インフルエンザと新型コロナの感染経路は?

インフルエンザの主な感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」です。
一方、新型コロナウイルスの感染経路も、これまで飛沫感染と接触感染と言われてきました。ただ、最近では「換気の悪い室内などでは『空気感染』もするだろう」との見方が専門家の間で強まってきています。

「ソーシャルディスタンス」「三密」は何のため?

新型コロナウイルス感染症予防では「ソーシャルディスタンスをとりましょう」とよく言われます。スーパーでの買い物などで並ぶとき、飲食店などで食事をするとき、病医院の待合室で待つときなど、「他の人と2メートルほど距離を保ちましょう」と。
このソーシャルディスタンスは、飛沫感染をふまえた予防策です。
飛沫が飛ぶのは1~2メートルほどの範囲なので、それよりもちょっと離れましょう、ということ。

もうひとつ、「三密」を回避するということもよく言われます。
3つの密とは、密閉、密集、密接のこと。閉ざされた空間に大人数で集まって話したりしないようにしましょう、ということ。これは、空気感染を意識した予防策でしょう。

感染経路を意識した予防策を

インフルエンザは飛沫感染と接触感染、新型コロナはそれらに加えて空気感染に気をつける、ということでした。

飛沫感染を予防するために大事なのは、ソーシャルディスタンスをとることと、他人にうつさないようにする咳エチケット、マスクです。
接触感染の予防で大事なのは、手洗いや消毒の習慣。
そして、空気感染の予防で大事なのは、三密の回避、なにより換気です。

自分自身がつらい思いをしないように、そして他人にうつさないように、一人ひとりができることを行いましょう!

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