かかとを乾燥から守るには

2019.12.01

空気が乾燥する季節になりました。
この季節は、肌荒れがひどくなる、という方も多いでしょう。
なかでも、乾燥しやすい部分のひとつが、「かかと」です。
今回は、乾燥する理由と、乾燥を防ぐためのセルフケアについてご紹介します。

そもそも「肌が乾燥する」とは?

そもそも肌が乾燥するとは、どういう状態なのでしょうか。
簡単に言えば、皮膚内の水分や皮脂が不足し、潤いがなくなった状態のことです。

肌(皮膚)は、大きく分けて3層構造になっています。
いちばん表面が「表皮」、その下が「真皮」、そして一番奥の層が「皮下組織」です。
表皮はさらに、表面から「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層に分かれています。いちばん外側の角質層には、肌の潤いを保つために重要な役割を果たす、「皮脂」「角質細胞間脂質(セラミドなど)」「天然保湿因子(アミノ酸や尿素など)」があり、これらが何らかの原因で減少すると、角質層の水分や脂質が失われ、肌が乾燥してしまうのです。

肌が乾燥する原因

肌の潤いを保つために必要な「皮脂」「角質細胞間脂質」「天然保湿因子」は、加齢とともに減少していくと言われています。
また、洗いすぎ、摩擦などの刺激、熱いお湯での長風呂なども、皮脂が失われる原因になり、乾燥につながります。
さらに、表皮を構成する細胞は、いちばん奥の基底層で生まれ、成熟するにつれてだんだん上の層へ移り、平らになって角質層を構成したのち、垢となってはがれ落ちていきます。このことを「ターンオーバー」と言いますが、ターンオーバーのサイクルが乱れると、古くなった角質細胞がいつまでもはがれずに残ってしまったり、角質細胞間脂質がつくられにくくなったりして、また乾燥を引き起こします。

なぜ、かかとは乾燥しやすいの?

では、なぜ、かかとは乾燥しやすいのでしょうか。
これにも、複数の原因があります。
まず、足の裏には「汗腺」はありますが、「皮脂腺」はありません。そのため、もともと皮脂が不足しがちで、乾燥しやすいのです。

また、体重がかかりやすいかかとは、その衝撃を受け止められるよう、もともと角質層が厚くなっています。そのため、ほかの部分に比べてターンオーバーに時間がかかり、古い角質がたまりやすいのです。

そのほか、サイズの合わない靴を履いていると、靴の中で足が前後左右に動き、かかとの皮膚もこすれ、乾燥やひび割れの原因になります。

乾燥から守るスキンケア

スキンケアの基本は、「洗浄」と「保湿」です。
洗い方は、よく泡立てた石鹸などで、やさしく包み込むように洗いましょう。洗い過ぎると、かえって皮膚の表面を守っている皮脂を取りすぎてしまいます。また、ゴシゴシと力強くこすると、摩擦刺激で角質がより厚くなります。

洗った後には、速やかに保湿を。
一般的に足を洗うのは入浴時だと思いますが、入浴後は、角質が水分を含んだ状態になっているため、保湿剤が浸透しやすいタイミングです。お風呂からあがったら、はやめに保湿剤をつけましょう。

そのほか、足に合った靴を選ぶことで、足を刺激から守ることも大切です。

スキンケアでは改善しない場合には

こうしたスキンケアを行っても乾燥が改善されない場合、また、乾燥以外に赤みや腫れなどの症状がある場合、はげしいかゆみを伴う場合には、一度、皮膚科を受診しましょう。

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