「熱中症予報」と「救急搬送の目安」

2018.08.01

熱中症による救急搬送が、なお、全国で続いています。

7月16~22日の1週間には搬送者数が2万2647人に上り、集計を始めた2008年以降最高を記録したそうです。

 

そうしたなか7月20日、日本救急医学会が、熱中症予防に関して異例の緊急提言を発表しました。内容は次の4つです。

 

① 暑さ指数を意識した生活を心がけ、運動や作業中止の適切な判断を!

② 水分をこまめに取ること。おかしいなと思ったらすぐ涼しい場所に誘導を!

③ 適切な重症度判断と応急処置を。見守りつつ改善がなければすぐ医療機関へ!

④ 周囲にいるもの同士が、お互いに注意をし合う!

 

日々の行動の参考に! 「暑さ指数」とは?

提言の一つ目に「暑さ指数」という言葉が出てきます。初めて目にした方も多いでしょう。

これは、「WBGT(Wet Bulb Globe Temperature):湿球黒球温度」のことで、気温・湿度・輻射熱(地面や建物、体から出る熱のこと)の3つを加味した指標です。

「気温:湿度:輻射熱=1:7:2」の割合で、熱中症が起きやすい外的環境かどうかを数値化しています。熱中症が起こりやすいかどうかは気温だけでは判断できず、この暑さ指数が高いほど、熱中症のリスクが高いということです。

 

暑さ指数が31℃以上は「危険=運動は原則禁止」、28~31℃は「厳重警戒=激しい運動は中止」、25~28℃は「警戒=積極的に休息」となっています。

環境省の「熱中症予防情報サイト」(http://www.wbgt.env.go.jp/)に、全国各地の暑さ指数の実況と予測が出ていますので、ぜひ、参考にしてください。

 

  • 環境省 熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)の実況と予測」

http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php

 

救急車を呼ぶべき状態とは?

提言の3つ目に、「適切な重症度判断と応急処置を」とあります。

「適切な」とは具体的にはどういうことでしょうか?

 

熱中症を疑う症状(めまい、失神、大量の汗、頭痛、不快感、吐き気・嘔吐、倦怠感、意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温など)があったら、まず、涼しいところに移動し、洋服を緩めて体を冷やします。

 

その際、

  ・意識がない

  ・自力で水分を摂れない

  ・自力で水分を摂っても、体調が回復しない

場合は、救急車を呼びましょう。

「5分程度ですべての症状がなくなるか」が回復の目安と言われています。

 

何より予防が肝心ですが、いざ熱中症を起こしたときにはまずは涼しいところで休憩し、回復しない場合は、迷わず救急車を呼びましょう。

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