4月から病医院の“お金”が変わります
2018.04.01
病院やクリニックで支払う料金は、保険診療の場合、全国一律に決められています。
たとえば、ある病気ではじめて病院やクリニックにかかったときに発生する「初診料」は、282点(2820円)と決まっています。これは、日本全国、どこの病院、どこのクリニックでも同じです。
そのほか、この検査を行ったらいくら、この処置を行ったらいくら……と、一つひとつ、保険診療のメニューと価格は決められています。
診療報酬改定は、2年に1度
この“メニューと価格”は2年に1度改定をされるのですが、今年がちょうど改定の年。
診療報酬改定の年です。
「診療報酬改定」という言葉、一般の方にはあまりなじみがないかもしれませんが、
2年に1度行われ、とくに今年は、3年に1度行われる「介護報酬改定」とも重なっているため、注目を集めています。
改定された診療報酬が適用されるのは、4月から。
ですから、以前からお世話になっている病院やクリニックに同じ病気でかかり、同じ治療を受けても、支払う金額が多少変わるかもしれません。
もしも「あれ?」と思ったときには、受付などで訊ねてみてください。
大病院の紹介状ナシ受診は5,000円高い
ところで、冒頭で紹介した初診料の「282点(2820円)」は4月以降も変わりません。
ただし、「紹介状をもたずに“大病院”の外来を受診した場合、初診料とは別に、5000円以上の負担を求める」というルールの対象が拡大されました。
これまでは、
- 「特定機能病院」(大学病院の本院など)
- 500床以上の「地域医療支援病院」
(地域医療を守るために紹介患者さんへの医療を行う病院として承認を受けている病院)
が、前述のルールの対象となる“大病院”でした。
この対象が、4月から、500床以上ではなく「400床以上」に拡大されました。
大病院の再診も追加負担
ちなみにその昔は、紹介状を持たない患者さんが大病院(一般病床を200床以上もつ病院)の外来を受診した場合、「それぞれの病院が決めた金額を患者さんに請求してもよい」というルールでした。
ですから、別途請求する病院もあれば、しない病院もありました。
ところが、2016年からは、紹介状をもたない患者さんが大病院の外来にかかった場合は、初診料などとは別に5000円以上の負担を求めることが、義務化されたのです。
(もちろん、救急などは別ですので安心してください)
なおかつ、ほかの病院や診療所を紹介したにもかかわらず、再診で同じ大病院にかかった場合、2500円以上の特別料金を必ず支払わなければなりません。
病院、クリニックには得意・不得意がある
紹介状をもたずに大病院にかかると、診察代とは別に5000円以上がかかる――。
国は、緊急のときなど以外は、大病院ではなく、クリニックや身近な中小規模の病院にかかるように、と誘導しているわけです。
患者さんとしては、「どこにかかるかは個人の自由なのに」と思うかもしれません。
たしかに患者さんの自由なのですが、病院によって得意・不得意があります。
大病院が得意なのは、専門性の高い治療です。
一方で、患者さんの全体をみて、専門性の高い治療が必要かどうかを判断するのは、身近なクリニックや中小の病院の役割であり、クリニックや中小病院が得意とするところです。
同じ診療科を標ぼうしていても、どんな病院、クリニックなのかによって役割や得意とすることが違うということも意識して、選んでいただければと思います。